✿玉串のこと

 

 玉串は神社の祭典で神様に奉られる。榊など常緑樹の小枝に、木綿(ゆう)や紙垂(しで)と呼ばれる麻や紙をつけたもので、お祭りには欠かせないお供えです。木綿や紙垂は、神聖である事、清らかである事を表しています。

 

 玉串はお供え物の一種ですが、米やお酒などの神饌(しんせん・お供え物)とは違い、拝礼を伴って奉られます。およそ祭典では後半の方、斎主(宮司)の祝詞奏上、神楽舞、奏楽などの後に、玉串を奉っての拝礼が行われます。 

 

 玉串を持つ時は、胸元の高さに持ちます。神前に進んでからは一礼し、次に枝本を自分の方に向け、そこで祈念します。それから玉串を回し、本を神前に向けてから案(机)の上にお供えします。そして、二拝二拍手一拝の作法で拝礼します。ちなみに拝とは九十度腰を折る礼の事です。

 

 団体で参拝した時には、代表者だけが玉串を捧げる場合があります。そんな時には、他の参拝者は代表が玉串を捧げるのを見届けてから、合わせて拝礼します。

 

 

 玉串の語義、由来については諸説ありますが、もともと神霊の依代(よりしろ)であったとする説が有力です。

「天の岩屋戸開き」の神話において、神々が行った祭りで、布刀玉命(ふとだまのみこと)が根付きの賢木(榊)を、岩戸の前に捧げます。天照大御神の御出座しを仰ぐ為です。その根付きの賢木が、神様の依代であるところの、古代の玉串の様子だと言われています。

 

 

 

 玉串を奉る時には、お参りする人の気持ちを一心に込めます。込められた気持ちが神様に通じれば、捧げたその玉串に神様の御霊(みたま)も降りて下さいます。そして、お祭り自体が成就するというわけです。

 

 神様と人とが一体となる。お祭りの目的もここにある、と言って良いのではないでしょうか。